(問) 本日の通常会合について、概要を総裁からご説明頂けますでしょうか。
(答) わが国の金融機関は、昨年秋以降におけるCP・社債市場の機能低下
等に伴う企業金融の逼迫のもとでも、貸出の増加を通じて、金融仲介機能を相
応に維持してきました。
しかしながら、国際金融資本市場における緊張の持続や内外経済環境
の悪化を背景に、有価証券関係損失や信用コストが増加するなど、金融機関経
営全般に悪影響が及んできています。
今後、国内外の金融資本市場の緊張がさらに強まり、個々の金融機関
が、先行きの株価の下落等に対する懸念から自己資本制約を強く意識する場合
には、円滑な金融仲介機能の維持に支障が生じる可能性があります。この場合、
個々の銀行にとって、自己資本の状況を踏まえて貸出を抑制するということは
合理的な行動になりますが、各金融機関がそうした行動をとると経済全体に強
い下押し圧力がかかってきます。いわば「合成の誤謬」というかたちで金融と
実体経済の負の相乗作用が強まるということが懸念されます。また、国内景気
悪化の影響とも相俟って、金融機関の経営体力が低下し、金融システムの安定
性に影響が及ぶ可能性もあります。
以上申し上げたような状況認識を踏まえまして、日本銀行は、先程開
催しました政策委員会・通常会合において、劣後特約付貸付、いわゆる劣後
ローンの供与につきまして、具体的な検討を開始することとしました。
日本銀行による今回の措置は、厳しい経済金融情勢の下でも、わが国
の金融機関が十分な自己資本基盤を維持し得る手段を整えることにより、円滑
な金融仲介機能を確保するとともに、これを通じて金融システムの安定を図る
ことを目的とするものです。
本枠組みの検討に当たっては、中央銀行による資本性資金の供与が極
めて異例の措置であることに配意するとともに、本措置が金融機関自身による
資本調達や金融機能強化法に基づく資本調達と相俟って、金融機関の自己資本
基盤の強化に資するものとなるように留意していきたいと考えています。
(問) 損失が出た場合にどうするかということについてですが、この制度が
政府保証を前提にしているのかそうでないのかについてお聞かせ下さい。
(答) 資本性資金の供与は中央銀行にとって極めて異例の措置であることか
ら、これから検討する具体的な商品設計や運用の中で、財務の健全性確保につ
いて慎重な配慮が求められると認識しています。ただ、今回対象となる国際統
一基準行についてデフォルトリスクがあると認識しているわけではありませ
ん。
(問) 今回は国際統一基準行に対して総額一兆円ということになりましたが、
例えば今後この範囲を拡大していくということになった場合には、政府保証を
積極的に求めていくと考えて良いのでしょうか。
(答) 本日はまだ検討を開始するという段階です。今回の枠組みは先程も申
し上げましたが、民間金融機関がまず市場で資本を調達する、それから金融機
能強化法に基づいて資本を調達する、そうした手段に加えて、日本銀行による
劣後ローンの供与、この三つの手段が揃うわけであります。金融機関は自らの
置かれた状況、先々の経済金融情勢を踏まえて最適な資本政策を追求していく
ということになります。私どもとしては、日本銀行がこれから検討し、実行す
る劣後ローンも使った上で自己資本の基盤強化に努めて頂きたいと思います
が、今そのことについて考えを述べるというのは時期尚早という感じがします。
いずれにしても、今回の措置は日本銀行の財務の健全性ということと日本銀行
の使命達成ということのバランスをとって、最終的に日本銀行の判断で検討を
開始するという決定をしたものです。
(問) 今後の具体的な検討スケジュールについては、大まかにどのように考
えているのでしょうか。
(答) できるだけ早く検討を進めたいと思っています。ただ、その上で、い
つから実際に劣後ローンの供与を実行するか、あるいはいつまでこの措置を実
行するかという点については、改めて政策委員会で決定し、その時点で明らか
にしたいと思います。
(問) 国内統一基準行も色々と資本調達面で厳しいところがあるかと思いま
すが、なぜ対象を国際統一基準行に絞ったのでしょうか。
また、金利については市場実勢を勘案して日本銀行が定める利率とあ
りますが、要は具体的な市場実勢金利よりも高いのか低いのか、どのように考
えていらっしゃるのでしょうか。
(答) まず前者のご質問です。株価下落はもちろん色々な金融機関に影響を
与えるわけですが、金融機関経営面に直接的な影響を与える度合いを勘案して
国際統一基準行を対象とすることが適当と判断しました。
それから後者の利率に関するご質問ですが、本日の段階では市場実勢
を勘案して日本銀行が定める利率としており、具体的な決定方法については今
後検討する予定です。その際の考え方ですが、あくまでも金融機関自身による
市場からの資本調達が基本となりますから、その努力を阻害することなく、ま
た、将来日本銀行から借りた劣後ローンはできるだけ早く返済する、そうした
インセンティブを高めるような工夫をしていきたいと考えています。
(問) もう少し具体的に、金利は市場実勢よりも高いのか低いのかどちらに
なるのでしょうか。
(答) ただ今、基本的な考え方を申し上げました。すなわち、市場での調達
を阻害することなく、また、将来の返済に対してインセンティブを高めるよう
工夫するということを申し上げました。民間金融機関は、今でも劣後債を
マーケットから調達したり、あるいは劣後ローンを私募で調達するということ
を行っておりますが、そうした実際の劣後債務の調達の状況等も私どもなりに
検討したうえで決定したいと思っています。哲学は先ほど申し上げたことに尽
きます。
(問) これで金融機関の資本調達については三つの選択肢が揃うことになる
とのことですが、金融機能強化法については実際に申請する金融機関が少ない
という現状があります。三つの選択肢ということですが、どのようにこの三つ
の選択肢を整理したら良いのでしょうか。日本銀行の今回の施策はどのように
位置付けられるのかというのが質問の一点目です。
次に、本日発表された「金融システムレポート」にも同じような文面
がありますが、今回のプレスリリースには、「自己資本制約を強く意識する場
合には、円滑な金融仲介機能の維持に支障が生じる可能性がある」とあります。
これは私どもが読み替えると、貸し渋り・貸し剥がしのような現象ということ
になりますが、自己資本の制約による貸し渋りというのは起きていないという
のが日本銀行の現状認識ということで良いのでしょうか。
(答) 最初の質問ですが、今回の案は金融機関が資本基盤を維持し得る環境
を整えることに目的がありますので、その点では金融機能強化法と目的におい
て共通している面があります。ただ、金融機能強化法では幅広い金融機関を対
象に主としてTierⅠの増強を目的として制度が組み立てられています。こ
れに対し、今回の日本銀行の措置では、株価の下落が自己資本比率に直接的な
影響を及ぼし得る国際統一基準行を対象にTierⅡの増強を行おうとする
ものです。金融機関の経営者からすると、自らの自己資本の状況、水準あるい
は構成、それから先々の経済金融情勢等を踏まえて最適な資本政策を追求して
いくということです。その中で経営者が選択していくということであり、特に
民間の調達というのが一番ベースになりますが、この三つの選択肢があること
が自己資本基盤の整備に役に立つと考えています。
次に、二番目のご質問のいわゆる「貸し渋り」、いわゆる「貸し剥が
し」の認識についてお答えします。最初に、貸し渋りあるいは貸し剥がしとい
う言葉は色々な意味で誤解を招きやすい言葉なので、私自身はできるだけ使わ
ないようにしています。例えば、不良債権が発生するとか、保有している有価
証券の価値が下落する、自己資本が減少するということは、金融機関からみた
場合でも企業からみた場合でも実は同じ現象であり、ミラーのような感じにな
るわけです。つまり、経済全体に不良債権が発生するということは、企業の自
己資本がそれだけ低下しているということであり、企業に対して貸出を行って
いる金融機関の貸出の価値が減少するということでもあるわけです。将来の経
済情勢の悪化を予想する時には、他の条件が同一であれば金融機関自身もリス
クを取りにくくなり、企業自身もリスクを取りにくくなりますから、そういう
意味では、金融機関サイドと企業サイドの両方の要因があると思います。
そうしたことを申し上げたうえで、いわゆる「貸し渋り」ということ、
あるいは金融機関の自己資本制約から貸出が抑制されていないかということ
についてのお尋ねということでお答えしますが、現在、「日本の金融機関全体
がマクロ的にみて資本制約が強くかかっており、この結果貸出に強いブレーキ
がかかっている」という状況ではないと思っています。金融機関の貸出をみる
と、欧米では貸出の伸び率がこのところずっと下がってきていますが、日本の
場合は足許増加しており――この二ヶ月間はほぼ横這いですが――、そういう
意味でマクロ的に自己資本制約があるがために貸出に強いブレーキがかかっ
ているわけではありません。ただ、これは企業も金融機関もそうですが、常に
先行きを意識して行動するわけであり先々自己資本が減少する惧れがあると
いうことを意識すると、そうした意識がまた自らの行動に影響していきます。
そういう意味で、今回の措置はこうした今後の状況と経済主体における行動の
変化の可能性を意識したものです。以上がいずれもマクロの話です。ミクロに
ついてはまた別途の話になりますが、マクロ的には今申し上げたようなことだ
と思います。
(問) 今回の決定に若干唐突感を覚えたのですが、政府との協議や今回の決
定に至る経緯をもう少し詳しくお話し下さい。また、今回の措置はここにも書
かれているように異例であるということですが、各国中央銀行もいろいろな政
策をとっているわけで、それと比べて今回の措置を評価して頂けないでしょう
か。
(答) まず政府との関係ですが、これはいろいろなレベルで、経済金融情勢
の認識について意見・情報交換を行っています。今回の件でいえば金融機構局
も行っていますし、私も大臣と折に触れて意思疎通を行っています。経済金融
情勢が厳しいこと、それから自己資本基盤の充実が非常に重要であるというこ
とについて、常日頃から認識を共通にしていると私自身は思っています。
それから各国中央銀行との比較についてですが、ご質問の主旨は金融
政策ではなく金融システムの面についてということだと思います。現在の状況
では、金融政策と金融システムを明確に分けることは難しい面もありますが、
いくつかの事例をご説明したいと思います。
まず、個別の金融機関の経営が悪化し、放置すると金融システム全体
の安定性を損なう危険性がある、すなわちシステミックリスクがあるという時
に行う最後の貸し手の機能についてですが、幸い日本の金融システムはそこま
での状況に至っていませんから、今、日本銀行が最後の貸し手として個別金融
機関に対する貸出を行っているわけではありません。この点について一昨年夏
のサブプライム住宅ローン問題発生以降の経験をみてみますと、FRBは、ベ
アスターンズ証券やAIGを始め、いろいろなかたちで流動性あるいは資本性
資金を供給していますし、BOEもそうした最後の貸し手としての役割を果た
しています。スイス国民銀行は、スイスの大手銀行の不良資産を買い取る会社
に対してファイナンスを行っています。一方、日本銀行は現状そうしたことを
行う必要がないということです。
今回の日本銀行の措置は、金融機関が株価下落に限らず様々なリスク
が顕在化する事態を意識し、金融機関行動が慎重化することを配慮して設計し
たスキームです。各国の中央銀行の対応は異なっていますが、それは置かれて
いる金融システムの状況の違いだと思っています。共通しているのは、どの中
央銀行にとっても金融システムの安定をしっかりと維持することが大事だと
いう点です。
(問) 今回の日本銀行の措置で大手行を対象としているのは、特に株式保有
額が多く株価の下落の影響が大きいという判断だと思いますが、政府の改正金
融機能強化法では、大手行が政府の公的資金を使って、劣後ローンや劣後債に
よりTierⅠを補強することができないのでしょうか。
もしこれができるのであれば、日本銀行の措置との違いや、政府の枠
組みを利用せずに日本銀行の枠組みを利用する金融機関のメリットはあるの
でしょうか。
もしこれが無いとすると、銀行保有株の買取りと同様、政府が二十兆
円、日本銀行が一兆円をそれぞれ用意したが、これまでに一億円くらいしか利
用されていないように、ニーズが無いことをやっているということが起こり得
ると思います。今回の一兆円についても、どこまで利用されるという見通しを
持っておられるのでしょうか。枠組みを用意したが全く利用されないことも有
り得るとなると、どこまで意義があるかという疑問があります。
(答) まず、現在の金融機能強化法についてです。銀行と協同組織金融機関
で若干異なりますが、銀行について申し上げると、これは株式というかたちで
の資本注入であり、原則として議決権を有しない優先株、普通株への転換権の
付いた優先株、つまりTierⅠを対象にしています。その意味で、現在の法
律上、銀行についてはTierⅡを想定していないというのが事実関係につい
てのお答えです。
それから、政府がもしTierⅡに対して資本注入すれば、という主
旨のご質問がありましたが、私ども自身は、先程申し上げた政策目的や日本銀
行の財務基盤等を考慮して一兆円という金額を決定しました。この制度は、ま
だ実際にスタートしているわけではありませんからどの程度利用されるかわ
かりませんが、仮にこの制度が非常に使われることになった場合、政府が更に
法律を改正してTierⅡも対象にすることを排除しているわけではありま
せん。今回の決定は、現在の法律の下、また、厳しい経済金融情勢に直面して
いる中で、中央銀行としてどのように金融システムの安定あるいは持続的な成
長経路の復帰に貢献できるかを真摯に考えた結果だということです。
どの程度利用されるかということですが、これは先程申し上げました
通り、まだスタートしていませんから、それをお話するには時期尚早だと思い
ます。ただし、再開した株式の買取りについて、利用金額が現状少額にとどまっ
ているからこの措置に意味がないという主旨のご発言と受け取りましたが、私
どもはそのように考えていません。何度も申し上げているとおり、この措置は
安全弁として用意しているものです。先程、現在日本銀行は最後の貸し手とし
て個別金融機関への貸出を行っていないと申し上げましたが、以前には、最後
の貸し手という中央銀行に備わった機能を実行してきました。現状、最後の貸
し手として貸出を行っていないからこの制度に意味が無いとはどなたも思わ
ないと思います。むしろ、最後の貸し手の機能を使わない状態というのは、そ
れだけ金融システムも相対的に健全な状態を維持しているわけです。ですから、
安全弁という性格上、金額の多寡だけでは判断できないということを是非ご理
解頂きたいと思っています。
(問) 今の質問と重なりますが、メガバンクなどの資本状況をみると、
Tier Iの余力から考えて、劣後ローンを欲しているところがあるのか、あ
まりないのではないかと理解しています。おそらく地銀などが対象に入ってい
るのではないかと思うのですが、総裁は、この程度の必要性があるといった手
応えをお持ちになった上で、設計されたのかというのがまず一点です。それか
ら、実際に劣後ローンを供与した後に、日銀としてその供与した金融機関に対
してどのようなかたちでモニタリングされていくのでしょうか。例えば、利益
目標など一定の明示的な基準を設けるつもりがあるのか、もしくは経営責任を
チェックしていくのか、といったことについて教えて頂ければと思います。
(答) まず前者についてですが、銀行は、金融機能強化法の活用により、
TierⅠにカウントされる資本の調達が可能になります。日本銀行は、
TierⅡにカウントされる劣後債務の調達を可能とする措置を検討するこ
ととしたわけですが、今ご質問にあった通り、各行によってTierⅡの追加
調達の余地は異なります。ただ、銀行により程度の差はありますが、TierⅡ
算入の余地は残されており、資本基盤の維持を図るうえで、TierⅡも相応
の効果を発揮すると考えています。私どもは、この制度が最優先されるのでは
なく、再三申し上げている通り、民間金融機関が自力で市場から調達すること
が大原則であると考えています。ただ、先程申し上げた通り、「合成の誤謬」
が働き得るわけですから、全体としてはさほど心配する必要はないと思ったと
しても、経済金融情勢、資本の情勢に緊張感があるため、私どもとしてはこう
した手段、選択肢を揃えておくことに大きな意味があると考えました。
それから、後者の質問についてですが、日本銀行は、従来より金融機関
の貸出行動について、マクロ、ミクロの両面からモニタリングを行っています。
今回劣後ローンを供与する金融機関に対しても、従来と同様のモニタリングを
通じて状況を把握していくつもりですが、それ以外に追加的な対応を求めるこ
とは全く考えていません。
(問) 二点お伺いします。十年程前に「銀行は株を持つな」と言われ、政府
や日銀に株を買い取ってもらった経緯があると思います。先行きの株価下落等
に対する懸念から、自己資本制約を強く意識する可能性があるのであれば、監
督当局として、銀行から強制的にでも株を手放させるという措置を先に考える
必要がなかったのか、という点がまず一点です。
それに関連しますが、銀行が株式投資に失敗したという経営判断のミス
があった可能性が高いわけですが、今回の措置はその尻拭いを日銀がするよう
なかたちにみえます。これは、例えばサブプライム住宅ローン問題に関連して
農林中金が下部組織から増資しようとした際に、トップの辞任が必要だったの
と同じように、何らかの資本注入が起きた時に何らかのペナルティーがないと
納税者は納得できないのではないかと思います。さらに、銀行が発行している
社債などに日銀による暗黙の保証が付いているように連想され、ある種のクレ
ジットバブルのような状況が発生してしまう可能性が考えられるのですが、ど
のようにお考えでしょうか。
(答) まず、一点目の金融機関の株式保有リスクの問題ですが、本日発表し
た金融システムレポートを読んで頂くとわかる通り、これまでも繰り返し、日
本の金融機関にとって株式保有リスクの削減が大きな課題であると述べてま
いりました。十年あるいは五年という期間でみますと、金融機関が保有する株
式の残高自体は減ってきました。日本銀行が株式の買取りを始めた時は、大手
金融機関はTierⅠを上回る株式を持っていたわけです。当時、株式の保有
残高をTierⅠの範囲内に収めていくことを求める法律が通り、日本銀行の
株式買取りも受け皿として機能したわけです。どの程度株式を持つことが適当
かは、最終的には金融機関の自己資本の状況、金融機関のビジネスモデルとも
関連しますから、株式保有金額はゼロであるべきだと私は申し上げているわけ
ではありません。金融機関が自ら抱えているリスクを冷静に計算し、そのうえ
で最適なバランスを追求すべきであると考えていますが、私どもとしては、現
状の株式保有リスクは多いと判断しています。残念ながら、そのような状況の
もとで、国際的な金融市場の緊張が起こっているわけです。
私どもは、長期的な課題として取組んでいくべきことと、現在直面して
いる問題あるいは直面しそうな問題に対処するということは、両方必要だと
思っています。長期的な問題としては、これは金融機関だけの問題ではなく、
政策投資株を誰が保有するのかという観点から考えれば、色々な機関投資家が
長期的な投資を行っていくうえでどのような制度整備が必要なのかという問
題であり、ずっと議論されてきたテーマであります。そうしたことを単なる議
論で終わらせるのではなく、各論に落として実行していくことが必要だと思っ
ています。
二点目の尻拭いではないかという点についてです。多少記憶が定かでは
ありませんが、「隣の家で火事が起きた際に、火事を出した家がまず消すべき
であると言っても、火の粉が自分の家あるいは近隣に及んでくるとなると不都
合で拙い事態である」といったことを先日、バーナンキFRB議長がインタ
ビューで答えていました。そのような意味で、金融システム全体の安定性を維
持するために何が必要かということも考える必要があると思います。
それからクレジットバブル発生の可能性についてですが、これは金融シ
ステム面の施策に限ったことではないと思います。過去十数年の世界経済全体
の運営を振り返ってみますと、バブル崩壊後の色々な対応が結果として次のバ
ブルを生んでしまっているのではないか、という反省、問題意識があるわけで
す。結局は、何事も行き過ぎてはいけないということであり、今回のこの措置
については、日本銀行の劣後ローンに過度によりかかることがないように制度
設計をしたいと先程申し上げました。こうした点についても十分配慮した設計、
運営にしていきたいと思っています。
(問) 日銀は過去にも破綻した金融機関の劣後ローンを引き受けていたと思
いますが、今回、破綻していない金融機関にお金を入れるというかたちをとる
というのは、それだけ異例の措置をとらなければならない事態だという認識な
のかどうか、改めてお聞かせ下さい。
(答) 過去、日本銀行が劣後ローンを提供したケースというのはありますが、
今回の措置は、破綻金融機関に対して融資を行う、あるいは破綻しそうな金融
機関に対して融資を行うというものでは全くありません。先行きの株価下落等
のリスクを意識して金融機関の行動が慎重化していくということになると、先
程申し上げた「合成の誤謬」になってしまいます。そうした事態にならないよ
うに日本銀行の劣後ローンという手段も用意しますということです。従って、
これは破綻云々ということとは全く関係のない制度です。
2009-03-18