冒頭発言
今回のG20では、金融市場が全体として安定に向かい、世界経済も改善してきているもの
の、先行きには引き続き注意が必要な情勢にあるとの認識を共有致しました。その上で、回
復が確かなものとなるまで、各国が引き続き必要な政策をしっかりと行っていくことを改めて
確認しました。また、国際的な金融システムの安定に向けた規制・監督のあり方についても一
段と議論を深める事ができました。私からは、経済情勢に関しては、先行きの世界経済について、バブル崩壊後のバランスシート調整には時間がかかること、その間の景気回復は緩やかなものとなる可能性が高いこと、などを中心に説明しました。金融システムの規制・監督のあり方に関しては、自己資本規制などの個別の措置が全体としてバランスのとれたものであるとともに、今後の景気回復とも整合的なものとなるように設計していくことが大事であるということを説明しました。
問
今回の金融機関の行き過ぎた行動を抑えるために、どのようにしたら良いのかという
点についてです。今回のG20で議論された規制がどのように効果があるのか、ないのかをお
聞きしたいと思います。まず一つは、銀行員のボーナスを何年間か凍結することにどれだけ
の意味があるのでしょうか。もう一つは資本を厚くしようという話で、たとえばダイナミックプロ
ビジョニングなどという言葉が最近流行です。この点についてモデルとなったスペインでは、ダ
イナミックプロビジョニングをやっていたのでバブルがなかったのかといえば、実際には激しい
住宅ブームでした。こうした観点から資本を厚くすることがどれだけバブルに効くものなのでし
ょうか。
答
ご質問のあった点については、今回のG20で、それぞれ細かなあるいは分析的な議
論があったわけではありませんから、必ずしも今日のG20の議論ではなくて、一般的にこうい
う問題についてどう考えるかということでお答えします。
まず、金融機関の報酬についてですが、今回の金融危機の一つの反省として、過大なリス
クテイクが危機の一因となったとの問題意識があります。この過大なリスクテイクの背景も
様々ありますけれども、金融機関の経営者、あるいはトレーダーのインセンティブというものを
考えた場合、この報酬の体系は、一つの大きな要因であったという認識からスタートしたと思
います。この金融機関の報酬それ自体についての議論は先ほど副大臣からお話があったの
で繰り返しませんが、この報酬についても、あるいは、自己資本比率の規制についても、それ
一つでこの過大なリスクテイキングを抑えていくものでは多分ないと思います。いろいろな規
制・監督の手立ての組み合わせの中で、従来よりもリスクテイキングを抑制していくという制
度を作っていくことが必要だと思います。従って、一つずつの措置を単独でとることが必ずしも
適当ではないという感じが致します。
次に、スペインのダイナミックプロビジョニングについてですが、経済の状況が好調なときに
はできるだけバッファーを積み上げておいて、経済の調子が悪いときにはそのバッファーを取
り崩していくという大きな思想の中で、いろいろな制度の設計があるものと思います。ダイナミ
ックプロビジョニングもその一つですが、それ以外にも幾つもの方法があります。今回合わせ
て発表された文書の中に、現在、どういうことを検討しているかということが書かれていますけ
れども、そうした検討をこれからも深めていくということだと思います。
問
今日は出口戦略も大きな議論のポイントであったと思います。白川総裁の最近のスピ
ーチでも、まだ先行きには不安があると強調されていると思うのですが、日本銀行として、出
口戦略を話すまたは議論をしていくことについて、何か違和感というようなものはなかったの
でしょうか。
答
G20では、個々の国の中央銀行が自らの金融政策を議論するということではなくて、
現在、世界に共通の、G20共通の課題である現在の経済の危機、あるいは金融の危機をど
うやって克服していくのかという課題の下に議論しているわけです。今回の会議では一般的
な考え方を先ほどの声明というかたちで整理をしました。今のご質問に対する直接の答えに
はならないかもしれませんが、会議では、金融政策に限らず各国が現在実施している異例の
措置について、措置ごとに終了の時期や順序、それから手法等が異なることを意識しながら、
どのような点に留意しながらこれを進めていくのが必要なのかについて意見交換を行ったわ
けです。そうした議論を経て「例外的な支援を戻すための透明で信頼性あるプロセスの必要
性」について認識を共有したわけです。
こうした点を踏まえてご質問にお答えするとすれば、そのような一般的な考え方を議論する
ということは、これは大いに意味があると思っております。
2009-09-06
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